わたの原八十島かけてこぎ出でぬと 人には告げよあまのつり舟
わたの原 八十島かけて こぎ出でぬと
人には告げよ あまのつり舟
参議篁(さんぎたかむら)
わたのしま やそしまかけて こぎいでぬと
ひとにはつげよ あまのつりぶね
- 歌の意味
- 広々とした大海原のはるかに、多くの島々を目指し、
舟を漕ぎ出して行ったと
都にいるあの人に伝えてくれ、漁師の釣り船よ・・・・
- 解説
- 本名は小野篁。少年時代から頭の切れる人物で、嵯峨天皇のお気に入りでした。
篁は遣唐副使に任命され、唐にわたることになったのですが、
出発前に遣唐正使の藤原常嗣と揉め事を起こし、
病気と偽って唐行きをやめてしまいました。
このことに怒った天皇は、篁を流罪。隠岐の島へ流されることになります。
隠岐の島へ向かう舟の中で篁が詠んだのが、この歌。
篁は運良く2年で許され、都に帰り、その後「参議」という高い位につきます。
八十島=多くの島々。この場合、隠岐諸島(島根県)を指す。
あまのつり舟=あま(海人)は漁師。
覚え方
- はらわた食ってる八十島がこっち見てる ひとにつげたらお前の番だぞぎゃぁ~