世の中は常にもがもな渚こぐ あまの小舟の綱手かなしも
世の中は 常にもがもな 渚こぐ
あまの小舟の 綱手かなしも
鎌倉右大臣(かまくらのうだいじん)
よのなかは つねにもがもな なぎさこぐ
あまのおぶねの つなでかなしも
- 歌の意味
- この世の中が、永遠に変わらぬものであればよいのになぁ・・・・
波打ち際を漕いで行く漁師の小舟に綱をかけて、
陸から引いていく様のなんとおもしろいことよ・・・・
- 解説
- 鎌倉右大臣は、本名・源実朝(さねとも)。父は鎌倉幕府を開いた源頼朝。
7歳の時、父が死亡し、父の後を継いだ兄の頼家も暗殺されます。
その後、実朝が将軍になりますが、権力闘争の中、
いつ命を狙われるかわからない不安を感じていました。
これは、海で漁師が舟を出す様子を眺めながら、
いつまでも変わらない日常が続けばいいなという気持ちを詠った歌。
実朝は、甥の公暁(くぎょう)に刺し殺され、無念にも非業の最期を迎えます。
あまの小船=あまは海人。漁師のこと。
覚え方
- 世の中「和」(が大事) 天野はダサいけど和は大切にする男