久かたの光のどけき春の日に しづ心なく花のちるらむ
久かたの 光のどけき 春の日に
しづ心なく 花のちるらむ
紀友則(きのとものり)
ひさかたの ひかりのどけき はるのひに
しづごころなく はなのちるらむ
- 歌の意味
- 日の光が、のどかに差している春の日に
どうしてこんなにも心せわしく、桜の花は散っていくのであろう・・・・
- 解説
- 紀友則は、身分の低い貧しい役人でしたが、あるとき才能を認められ、
紀貫之・壬生忠岑・凡河内躬恒とともに
「古今和歌集」の編纂という大役を任せられます。
しかし、こころざし半ばにして、病でこの世を去りました。
いとこの紀貫之は、友則の死をとても悲み、次の歌を残しています。
「明日知らぬ わが身と思えど 暮れぬ間の 今日は人こそ 悲しかりけれ」
(意味)私だって明日死ぬかもしれない身であることはわかっています。
でも、こうして生きている今日は、彼が死んだことが悲しくて、
他には何も考えることができないのです。
覚え方