音に聞く高師の浜のあだ波は かけじや袖のぬれもこそすれ
音に聞く 高師の浜の あだ波は
かけじや袖の ぬれもこそすれ
祐子内親王家紀伊(ゆうしないしんのうけのきい)
おとにきく たかしのはまの あだなみは
かけじやそでの ぬれもこそすれ
- 歌の意味
- (あなたは、波が寄るように、夜しのんで来たいとおっしゃいますが)
うわさに高い高師の浜の、寄せてきたと思ったらすぐ引いて行く浮気な波。
その波のように、浮気で有名なあなたに思いを掛けるなど、とんでもないことです。
すぐに捨てられて涙で袖が濡れてしまいますよ。
- 解説
- この歌は、「艶書合せ」(えんしょあわせ)という恋の歌専門の歌会で、
藤原俊忠が詠んだ下の歌へ、祐子内親王家紀伊が返信した歌です。
俊忠「人知れぬ 思いありその 浦風に 波の夜こそ いかまほしけれ」
(人知れずあなたが好きでした。荒磯の浦の風で波が寄るように
今夜あなたのもとにしのびたい。)
歌合せの勝負は、紀伊の圧勝。
しかも、紀伊はこの時、70すぎの老女だったそうです。
覚え方
- そこの漢(おとこ)に聞く 賭けじゃ~そでの勲章を賭けて